愛着スタイル「混乱型（未解決型）」は依存と逃避の反復…克服法は？

愛着スタイルには4つのパターンがあります。
今回こちらでは、「他者に対して拭いきれない不信感があり、良い関係を築きにくい」愛着スタイル混乱型（未解決型）について詳しくお伝えしていきましょう。

愛着スタイル混乱型（未解決型）の特徴

愛着スタイル混乱型は、未解決型や混合型、無秩序型や不安回避型などとも呼ばれます。
  
このタイプは愛着スタイル不安型（とらわれ型）と回避型（愛着軽視型）の特徴が混ざり合っていて、非常に複雑です。
 
「他人と親密になりたい気持ちは強いけれども、傷付くのを恐れて深く関わるのを恐れる」のは回避型と同じ特徴ですが、回避型のように周囲に無関心でいられずに他人の言動を過度に気にします。
 
さらには不安型の特徴と同じく、自分の価値を他人に委ねがちで依存的です。
 

 
ここからは愛着スタイル混乱型（未解決型）タイプの人の思考パターンや言動のパターンの5つの特徴について具体的に掘り下げていきましょう。

感情が不安定

愛着スタイル混乱型（未解決型）の人は、つねに人間不信に囚われています。
 
誰かに対していつも不信感や疑念を持っており、優しくされても「私を騙そうとしているのかも」「気まぐれでそうしているだけかも」などの不安を抱えがちです。
 
見捨てられ不安も強いので対人面においてネガティブな考えを持ちやすく、感情がつねに揺らいでいます。
 
愛着スタイル混乱型（未解決型）は、基本的には自分の感情をあらわにしない性格です。
しかし、相手に対して試し行為をするときはこの限りではありません。泣いたり怒ったり、感情を爆発させることで、相手の愛情を推し量ろうとします。
 
日頃感情をあらわにしないのに、突如として情動的になるため、他者からも不安定と思われやすいでしょう。

対人関係における行動が極端

愛着スタイル混乱型（未解決型）の人は、対人面において極端な行動に出やすい特徴があります。
 
「ひとりで過ごすのは嫌だけど、根本的に人を信じられない」愛着スタイル混乱型（未解決型）。誰かとつねに一緒に居たがったかと思えば、急に態度を変えて距離を置こうとすることも。
 
愛着スタイル混乱型は、他者を信頼できないにもかかわらず他者に依存しようとするため、心はつねに矛盾を抱えた状態にあります。
孤独を嫌うので他者と親密になろうとしますが、距離が近付いたら近付いたで相手を受け止めきれずに息苦しさを感じてしまうでしょう。
 
離れれば近付こうとし、近付けば離れようとするため、対人関係をうまく構築できずにさらに悩みが深まります。

自己開示が苦手

本音を口にしたり、自分の感情を顔に出したりするのが苦手なのも、愛着スタイル混乱型（未解決型）の人の特徴です。
 
根本に他者に対する不信感があるため、「自分が○○しても、どうせわかってもらえない」などと思ってしまい、素直に自己開示できません。
 
この特徴は回避型（愛着軽視型）と同じなのですが、混乱型の場合はさらに相手の機嫌や反応を異様に気にするといった特徴もあります。
相手の機嫌を損ねないように自分の感情を押し込めて、相手が気に入るように振る舞う傾向にあるのです。
 
ある物事に対して自分は良いとか好きだと思っていたとしても、相手が嫌うなら自分も同じように嫌いだと言ってしまいます。

自己肯定感が低い

愛着スタイル混乱型（未解決型）の人には、自己肯定感が低いという特徴もあります。
 
このタイプの人が自分の意見を曲げてまで他者に合わせようとするのは、自分に自信がないから。相手に合わせることで、自分の価値や存在を認めてもらおうとします。
 
「他人は他人、自分は自分」と割り切った考えをする愛着スタイル回避型とは反対に、自分の価値を他人の評価に委ねるのが混乱型の人の特徴です。
自己の考えや価値に否定的なため、重要な決断や判断を他者に依存しがちでもあるでしょう。
 
自己肯定感が低いと自分を責めたり落ち込んだりしやすく、精神的に不安定になる要素が増してしまいます。

依存症に陥りやすい

愛着スタイル回避型のように他者をキッパリと拒絶できず、不安型のように他者に甘えて懐に入っていく術を持ち合わせていない混乱型（未解決型）。
 
どのスタイルも愛着に問題を抱えていますが、中でも愛着スタイル混乱型はもっとも不安定タイプです。
 
ストレスへの耐性も低く、精神的な拠りどころを求めようとして依存症に陥りやすい特徴があります。
苦しみから逃れるためにギャンブルやアルコール、買い物、ゲーム、薬物などに傾倒していくうちに感覚が麻痺して、深刻な依存症へと発展しやすいでしょう。
 
また、自己肯定感が低く他者に依存しがちなため、共依存に陥りやすい傾向にあります。

 

愛着スタイル混乱型（未解決型）になった背景

混乱型とは幼少時愛着スタイルを指し、未解決型は成人後の呼称です。
 
愛着スタイル混乱型（未解決型）は、幼少期の環境の問題が原因で生じます。
親から虐待を受けていたり、ネグレクト状態で育てられたり、親と離された状態で育てられたりした子供は、混乱型になりやすいでしょう。
 
また、親が愛着スタイル未解決型であったり、過干渉で支配的だったりする場合も、その子供は混乱型になりがちです。
 
成長過程で一時期は混乱が解消されたように見えても幼少時の心の傷が完全に癒えておらず、問題が未解決なため、何らかのきっかけによって愛着スタイル未解決型（混乱型）に戻ってしまいます。

 

愛着スタイル混乱型（未解決型）の恋愛傾向

依存と逃避を繰り返す

愛着スタイル混乱型（未解決型）の恋愛パターンは、依存と逃避の反復です。
 
何事も相手の好みに寄せて、好きな人が気に入るような言動に努めます。しかし、相手が自分を信頼し始めると急に居心地が悪くなったり、相手が少しでも冷たいと思うと苦しくなって離れようとしたりするのです。
 
また、束縛されるのは嫌な混乱型がいるにもかかわらず、自分は相手を束縛したがります。なぜならばパートナーに対する不信感がつねに心にあり、縛っておかないと不安になってしまうからです。
 
恋愛の初期段階で取りやすい行動は、相手との距離を計れずにグイグイいき過ぎる、逆に自分に自信が持てずに好き避けするなど。
その時々の精神状態によって行動パターンが変わる、一貫性のない混乱型もいるでしょう。

長続きしない

愛着スタイル混乱型の恋愛は長続きしない傾向にあります。
 
つねにパートナーに不信感があるため、感情を爆発させて泣いたり喚いたりして相手の反応を伺いがちです。
束縛も強く、少しでも連絡が取れないと不安になって、鬼電や鬼LINE（ライン）をしてしまうタイプでもあります。
 
その結果ケンカや揉め事が多く、自分もパートナーも関係を維持するのに疲れ果ててしまうのです。
 
相手が混乱型にまだ情が残っていたり同情的だったりすると、冷酷になりきれずに復縁します。しかし、根本的な問題が未解決なため、再び別れてしまうでしょう。
 
相手にも愛着面に問題があれば、別れと復縁を繰り返すこともあります。

パートナーと共依存関係になりやすい

愛着面に問題を抱えているパートナーとは、共依存関係に陥ってしまいます。
 
相手に依存して自分の価値を見出そうとしたり、一方が過度な自己犠牲払って相手に尽くそうとしたりするのが共依存カップルの特徴です。
これらはそのまんま愛着スタイル混乱型の人の特徴に当てはまるでしょう。
 
共依存の恋愛は、相手と自分の境界線が曖昧で、2人だけの世界にどっぷりとハマりたがります。
 
相手に依存して合わせようと必死で尽くす混乱型と、混乱型に甘えて依存しがちなパートナー。
共依存関係は一見需要と供給が合っているとも思えますが、視野が狭くなって社会生活に混乱を招いたり、お互いに自立できず共倒れになったりする恐れがあります。

 

混乱型（未解決型）と相性の良いタイプ

精神面が安定していて感情的にならないタイプが、愛着スタイル混乱型（未解決型）と相性が良い人です。
 
混乱型の精神面は不安定になりやすく、時に感情を爆発させてしまう場面があります。そうしたときでも動揺して無視したり、一緒になって感情的になったりしない、心持ちが安定した人が傍にいると安心できるでしょう。
 
また少々不器用でも実直で誠実な人との相性も◎。相手に不信感を抱きやすい混乱型は、嘘を吐かない正直な相手でないと安心して心を開けないからです。
 
自己開示がうまくできない混乱型は、聞き上手で他人に気遣いできる人との相性も良いでしょう。
 
愛着スタイルで分類するなら、安定型（自律型）が該当者です。

 

 

混乱型（未解決型）と相性の悪いタイプ

すぐ感情的になるタイプや、言動に一貫性がなく、その時々の気分や機嫌で態度が変わる人は愛着スタイル混乱型（未解決型）との相性がよくありません。
 
感情的になりやすい者同士では冷静な話し合いによる問題の解決が望めませんし、言動の不確定さは混乱型を不安にさせる大きな原因です。
 
支配的で尊大な態度を取るタイプには最初のうちは頼りがいを感じられそうですが、相性は良くないでしょう。
他者に依存しようとする愛着スタイル混乱型は、この手のタイプの人と一緒に居るとモラハラや虐待を受けやすくなります。
 
同じく他者に依存的な気質を持つ人とも共依存に陥りやすいので、相性はよくありません。

 

混乱型（未解決型）を克服して恋愛を成功させよう

感情をコントロールする術を身につける

愛着スタイル混乱型が恋愛でつまづく大きな理由は、不安が抑えられずに感情的になってしまう点です。
 
通常、混乱型の人は穏やかですが、恐れや不安に捉われると情動的になって相手を追い詰めたり不快にさせたりしてしまいます。
 
怒りや不安が生じたとき、人の身体は無意識に固く強張ります。緊張状態をほぐすために、その場で深い呼吸を何度か行ってください。
深呼吸をして少し間を置くことで気持ちが落ち着きを取り戻し、衝動的な言動を控えられるでしょう。
 
また、日頃から自分が不安や怒りを感じる状況のパターンを認知しておくことも大切です。
冷静なときに対処法を考えておけば、ネガティブな行動を取る前に自覚して衝動性を抑えられるようになるでしょう。

過去のトラウマに向き合う

幼少期に過ごした環境や体験によって、愛着スタイル混乱型（未解決型）の人は心にトラウマを抱えています。
トラウマと向き合うのは非常に辛いでしょうが、それを乗り越えなければ問題は解決できません。
 
辛い経験を人に話すことができれば、トラウマは少しずつでも解放できます。しかし、自己開示が苦手な混乱型の人には、少々ハードルが高いかもしれません。
 
その場合は「ジャーナリング」を試してみましょう。
ジャーナリングとは、自分の考えを紙に書き出す手法です。他の人に見られたりしないので、ネガティブな感情もありのままに書き出しましょう。
ジャーナリングを続けると自分を客観視する習慣が身につき、感情のコントロールにも役立ちます。

カウンセラーや占い師など専門家を頼る

自分ひとりではトラウマに向き合えない、自分なりに色々試したけれどどれも効果が感じられない……。そんなときは、思い切って専門家の力を借りましょう。
知人でもありませんし、人の話を聞くプロでもありますから、安心して話ができるはずです。
 
愛着スタイル混乱型（未解決型）は、トラウマの原因となった出来事や親との関係において自分ではうまく言語化できないケースもあります。
専門家なら、そうしたあやふやな状態からでも解決の糸口を見つけ出してくれるでしょう。
 
また、混乱型は依存症を生じるケースがもっとも多く、自分ひとりでは手に負えない場合があります。
愛着問題の他に深刻な依存症でも悩んでいるのであれば、心のケアのプロに相談しましょう。

 

もしあなたのお相手が混乱型（未解決型）なら…

あなたのお相手が愛着スタイル混乱型（未解決型）の場合、寄り添いと共感をつねに心掛けましょう。
 
このタイプの人は、いつも心に不安を抱えて怯えています。「私はいつも、どんなあなたでも、ありのままを受け入れる」ということを態度や言葉で伝えて相手に理解してもらいましょう。
 
また、自己開示が苦手でもありますから、つねに相手の話に耳を傾ける姿勢も忘れないようにしてください。
 
混乱型の人は時に感情をむき出しにしますが、つられて感情的になって対応しないようにしましょう。相手が感情的になったときは、冷静に話を聞いて一緒に問題を解決するように心掛ける必要があります。
 
まだあまり相手との距離が近くないなら、一気に距離を詰めようとせずにじっくり時間をかけてお互いを知っていきましょう。

 

まとめ

愛着スタイル混乱型（未解決型）の特徴や恋愛の傾向、克服方法についてお伝えしました。
 
他人との距離感がうまく計れず、依存したり離れようとしたりするのが愛着スタイル混乱型の特徴です。
 
4つある愛着パターンの中でもっとも複雑で、場合によってはストレス過多から依存症を発症してしまう可能性がある愛着スタイル混乱型。
 
しかし、改善する手立てが無いわけではありません。
自分の行動や思考のパターンを把握して、愛する人と幸せな恋愛をしましょう。