世界一のピラミッドは埼玉にある!? 変貌し続ける武甲山というパワースポットとは?

▲芝桜の丘

こんにちは! ジブリマニアのライターMAKIJIです。今回ご紹介するのは、アニメの聖地が多い埼玉県の秩父にある武甲山というパワースポットです。

武甲山は、秩父神社の神奈備山(かんなびやま)として知られています。武甲山と秩父神社は、恋愛にまつわる神話が残るパワースポットです。

武甲山のある秩父は都心部から特急で約80分という便利さに加え、種類の違う芝桜が咲き誇り、可愛い花のパッチワークが楽しめる「春の羊山公園の芝桜」がSNS映えするとして多くの観光客で賑わいます。

▲見晴らしの丘

秩父市街地が一望できる、羊山公園の「芝桜の丘」と「見晴らしの丘」からは、秩父のシンボルとして背景に描かれることも多くなった「武甲山」を間近に観ることができます。ここは、秩父を舞台にしたアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』などの聖地巡礼の場所にもなっています。

今回は、マニアックな絶景ポイントを訪れながら、神秘的なパワースポット「武甲山」の魅力を紹介してみたいと思います。

一目見たら忘れられない! 埼玉にあるピラミッド「武甲山」

埼玉にある「世界一のピラミッド」という異名を持つ武甲山は、奇妙な山容から受けるインパクトが強く、全国各地にあるピラミッドと呼ばれている山に比べて、他を寄せつけないスケールの大きさがあります。

▲武甲山資料館内の展示資料より

「武甲山資料館」には採掘が始まる前の武甲山の写真が展示されており、以前はいくつもの峰が重なったような荒々しい山容だったことが窺えます。

▲武甲山資料館内の展示資料より(武甲山の地質断面)

武甲山の地質断面図を見れば一目瞭然ですが、日本屈指の良質な石灰岩が採掘されている山だとわかります。

武甲山という名は、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征され、戦勝祈願に着用していた、自分の甲(かぶと)を岩室(いわむろ)に奉納したことに由来する、というのが有力な説です。

▲武甲山の頂上直下にある「謎の構造物」

そんな武甲山を注意深く観ていると……、頂上直下に何か得体の知れない、謎の構造物を見つけました。正体不明の物体を確かめるには、武甲山の中腹に登って直接確認すれば良いのですが、構造物は「石灰採掘の爆破作業」が行われているエリアで立ち入ることができません。

新たに建設を始めたコンクリートのピラミッド神殿なのか、それともUFO秘密基地なのか、武甲山資料館のスタッフさんに「謎の構造物」について尋ねてみましたが、納得のいく答えを得ることができませんでした。そりゃそうだよね。

様々な撮影スポットで聞き込みしながら、謎解きしてみたいと思います。

眺望の良い撮影スポットの数々

▲出展:秩父市産業観光部観光課 ちちぶ花見の里

武甲山の山容をさらに眺めるべく訪れたのは、西側に4.8km離れた「ちちぶ花見の里」です。9月下旬ごろから、小さく白い清楚な「そばの花」が一面に咲き誇ります。

取材時はあいにくの天気で、武甲山の山頂付近には雲が引っかかっていますが晴れた日には、標高1304mの武甲山北側斜面にある石灰岩地層だけ削り取られている様子が良くわかる場所です。

SNSで話題! “都心から一番近い雲海”スポットも

▲秩父ミューズパーク展望台

武甲山をできるだけ高い場所から確認してみようと思い、「秩父ミューズパーク展望台」へやって来ました。

秩父の街中では、生活音があるため聴こえませんが、「秩父ミューズパーク展望台」のある丘陵地帯で耳を澄ますと、武甲山からの「発破の爆発音」が響いて聴こえます。

秩父市街地からクルマで約15分、荒川を挟んだ北西側の丘陵上にある展望台から武甲山を眺めてみます。先ほどの謎の構造物との高低差が縮まったかのように思えたのですが、6.3km離れてしまったために謎の構造物が確認できませんでした。

▲田中健太氏撮影

標高約359mの展望台は、知る人ぞ知る「雲海スポット」です。現在では、雲海の観賞スポットに「秩父雲海カメラ」と名付けられたライブカメラが設置されました。

運が良ければ、秩父ミューズパーク展望台から望む雲海の中に、高さ40mもある秩父公園橋がポッカリ浮かんでいる様子を見ることができます。

ふたりで弓矢を放つように「ミューズアロー」を試してみよう! 音色で占う縁結びスポット

▲ミューズアロー(こころの契り)

秩父ミューズパーク内を北に約500m移動して、もう1つの「雲海スポット」の「旅立ちの丘」に来てみました。絶景スポットであると同時に、恋人たちのデートスポットです。

縁結びスポットのミューズアローは、バネ付きの弓矢をイメージした鉄の棒を引いて放つと、鐘が鳴る仕組みになっています。2つあるそれぞれの弓矢を、思いを寄せる人と一緒に呼吸を合わせて放って、矢の先にある鐘が綺麗な音色を響かせることができれば、「想いが叶う」と言われています。

武甲山の山頂を目指すような弓矢を模したミューズアローは、武甲山と秩父神社にまつわる、微笑ましい神話から生まれたオブジェです。後ほど、秩父神社の境内で詳しく話したいと思います。

▲旅立ちの丘

「旅立ちの丘」は秩父市街地からのアクセスも良く、「都心から一番近い雲海」として注目を集め、SNS好きの若者たちの間でブームが起こっています。

ここでは全国各地の学校で歌われている、卒業ソング「旅立ちの日に」が流れています。「白い光の中に、山並みは萌えて、遙かな空の果てまでも、君は飛び立つ…」この歌詞を聴いていたら、なんだかノスタルジックな気持ちになってしまいました。
※冬のイルミネーション時期には、半円状のデッキデザイン部分も青く光るようです。

恋愛にまつわる神話が残る武甲山と秩父神社の関係とは?

▲秩父神社

先ほど話が途中になりましたが、ミューズアローは武甲山と秩父神社に残る微笑ましい神話から誕生したオブジェ。その神話というのが、秩父神社の大祭で、日本三大曳山祭に数えられる秩父夜祭で、語り伝えられているものです。

神社に祀る妙見菩薩は女神さま、武甲山に棲む神は男神さまで、互いに相思相愛の仲でした。しかし、武甲山に棲む男神さまの正妻が近くの町内に鎮まるお諏訪さまなので、ひそかに逢うこともできませんでした。夜祭の晩だけはお諏訪さまの許しを得て、年に一度の逢引きをするという、恋愛にまつわる神話が由来になっています。

秩父神社を掘り下げていくと陰陽道につながる?

▲セーマンドーマン

秩父神社は、縁結びや恋愛成就のご利益があるということで、女性を中心に盛り上がっているパワースポットです。縁結びは、まだ好きな相手がいない状態で良い巡り合いを願うもの、
恋愛成就は、好きな相手がいて結婚できるように願うものです。相手がいる・相手がいないという点では、「明暗」や「陰陽」を表した関係を表しているのかもしれません。

▲秩父神社のお守りにあるセーマンドーマン

ちょっとした豆知識のような話ですが、秩父神社にある「妙見守」には、特殊な蓄光糸で縫い込まれた、「セーマンドーマン」の印があります。妙見では、本質を見抜く目のチカラが必要とされ、暗い闇の中でも光で照らす役割があることを知る人は少ないでしょう。

「セーマンドーマン」とは、安倍晴明を代表するように、陰陽師が使用したと言われている種々の紋様や呪文を記載した護符です。三重県志摩地方の海女が、身につける魔除けのマークとしても知られています。秩父神社の「妙見守」は、暗闇でも「セーマンドーマン」のマークだけが浮かび上がって光るんですよ。

武甲山の伏流水が湧き出る今宮神社にある龍神伝説と隠れハート

▲秩父今宮神社

秩父神社の近くには、夫婦神と龍神・弁財天が導く、縁結びの秩父今宮神社があります。
「秩父夜祭」の名で知られる秩父神社の例祭で、ご神幸行列先頭を行く大榊に巻きつけられた藁づくりの龍神こそ、秩父今宮神社の境内にある龍神池から迎える水神様のご神体に他なりません。

龍神池の湧き水は「秩父最古の泉」で、秩父神社の神奈備山(かんなびやま)である、武甲山の伏流水であり、盆地を潤す大切な水源なのです。毎年4月4日には、龍神祭と水分(みくまり)祭が行われ、古くは水乞いに参拝する人の多かった秩父神社に、秩父今宮神社から龍神池の水が授与されていたことから、秩父神社と秩父今宮神社は切っても切れない関係にあります。

ご神木の龍神木は「駒つなぎのケヤキ」と呼ばれ、推定樹齢1,000年以上で、胴回りは約9.1m。太い幹には大きな穴が開いていることから、「龍神様の住み処」と言い伝えられます。龍神木に「ハート型のうろ」があると話題になり、参拝の女性たちが必死に探しています。「隠れハート」を見つけることができれば、恋愛成就すると言うウワサです。

※「洞(うろ)」とは、太い樹木などでは樹皮がはがれて幹のなかが腐るなどして隙間が開いて空洞になったり、太い枝が折れた場合などで再生するチカラが及ばずに空洞のままになってしまう状態のことです。

武甲山に存在する伝説の謎解き

▲寺坂棚田

周りを遮断するものがない独立峰の美しさと、彼岸花が咲いた棚田の組み合わせが「映える」と評判の、寺坂棚田へやってきました。視界が開けていることから、壮観な武甲山を間近に感じられる数少ない場所のひとつとして知られています。

寺坂棚田からは、武甲山とセメント工場をセットで撮影可能。秩父のシンボル「武甲山」を背景にした絶好のロケーションとも言え、左右に広がる緩やかな棚田が懐かしさを感じる、まさに日本の原風景という人気スポットです。日本の高度成長期に欠かせなかった石灰岩の採掘とセメント工場の発展に合わせて、痛々しく山肌が削られて山容が変わり続けている様子は、自然を犠牲にして作り上げられてきた日本を象徴する場所なのかもしれません。

秩父神社の里宮とする武甲山の山麓には「大蛇窪」というゆかりの地があります。石灰岩の開発が進む今でも、武甲山に大蛇が棲むという根強い信仰があるようです。

武甲山は遠い南洋の海からやってきた? 秩父は古代の秩父湾だった!

秩父盆地を縦横無尽に巡っているうちに、別の興味深いテーマに辿り着きました。そもそも、なぜ武甲山に豊富な石灰岩層があるのでしょうか? 石灰岩は、海のサンゴの化石じゃなかったかな?  ということは? 謎の多い武甲山の探訪はまだまだ続きます。

▲武甲山とセメント工場

秩父の地層を調べた結果、秩父はなんと海の中にあったそうです。秩父盆地の川沿いからは、クジラ、魚、貝、カニなどの化石が見つかり、武甲山山頂からも貝の化石が見つかっています。1700万年前まで秩父は海だった、古代の秩父湾だったとしても不思議ではありません。

武甲山の石灰岩は、海の中のサンゴ礁からできた石灰岩だそう。サンゴは浅い所でないと生育しない習性があるので、この場所に暖かい南洋のプレートがあったのではないかということになります。さらに地層を掘り下げた結果、5000km離れたハワイの近くにある海底火山だったことが判明。この武甲山は、太平洋プレートの移動に伴い、2億年前に秩父で隆起して誕生した「珊瑚礁の化石・石灰岩の山」ということになります。

変貌し続ける武甲山を観ていると、この景色は自然の犠牲のもとに成り立っていることを忘れてはいけないように思えてきます。自然界と人間界がどうやって共存していくのか? 人間に語り掛けているようにさえ思える武甲山の姿は、ジブリアニメのなかで宮崎駿監督が一貫して発信しているメッセージと被っているように感じてしまいました。皆さんもダイナミックな武甲山をぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

■ 羊山公園「芝桜の丘」

埼玉県秩父市大宮6360
※開花時期により入園料が必要となります。大人300円、臨時駐車場500円
https://navi.city.chichibu.lg.jp/p_flower/1808/
<最寄駅>
西武鉄道横瀬駅より徒歩約20分、西武秩父駅より徒歩約20分、秩父鉄道御花畑駅(芝桜駅)より徒歩約20分

■ 武甲山資料館、羊山公園「見晴らしの丘」※武甲山資料館に隣接しています。

埼玉県秩父市大宮6176
入館料:大人200円 開館時間:9時~16時 休館日:毎週火曜日
http://www.bukohzan.jp/
<最寄駅>
西武鉄道横瀬駅より徒歩約20分、西武秩父駅より徒歩約20分、秩父鉄道御花畑駅(芝桜駅)より徒歩約20分
<マップ>
https://goo.gl/maps/xEy2qpyzPPM2

■ ちちぶ花見の里

埼玉県秩父市荒川上田野413−3
https://navi.city.chichibu.lg.jp/p_sightseeingr/898/
<最寄駅>
秩父鉄道武州中川駅より徒歩約20分
<マップ>
https://goo.gl/maps/jjcoNmHxFK72

■ 秩父ミューズパーク

埼玉県秩父市小鹿野町長留2518
※住所では正確な場所は表示されません。HPで正確な場所を確認するようお勧めします。
http://www.muse-park.com/guide/facility06
<最寄駅>
・秩父鉄道秩父駅または西武鉄道西武秩父線西武秩父駅下車→秩父ミューズパーク循環バス「ぐるりん号」乗車(乗車時間約20分)
※秩父駅・西武秩父駅どちらからも同じ「ぐるりん号」に乗車出来ます。西武観光バスでは「ぐるりん号」を一日何回でも乗り降りできるお得な乗車券を販売しています。おとな1日券500円
http://www.muse-park.com/access
西武バス「ぐるりん号」:行き先番号P1ミューズパーク線
http://www.seibukankoubus.co.jp/chichibu_annai/pdf/PYNH.pdf
<マップ>
https://goo.gl/maps/RBiuzwjMbCC2

■ 寺坂棚田

秩父郡横瀬町大字横瀬1846
http://www.yokoze.org/2018/09/20503/
<最寄駅>
西武秩父線横瀬駅より徒歩15分、秩父鉄道御花畑駅より徒歩40分
<マップ>
https://goo.gl/maps/aUSh6P7gzNU2

 

MAKIJI(石塚貞幸):プロフィール

マニアックな旅行ライター。ジブリアニメが好きすぎて、トトロの森のある街で「観光コンシェルジュ」として活動中。見逃しがちでマニアックなスポットや、都市伝説のある場所を彷徨い、妄想しながら「ひとりっぷ」している。特技……、見知らぬ土地でも知らない人から気軽に声をかけられることかな。